第1章 アプリの作り方3パターン
Difyでアプリを作る方法は3つあります。この章では3つの方法を比較し、自分の目的に合った方法を選べるようにします。実際の画面操作は第2章(最初から作成)・第8章(テンプレートから作成)・第12章(DSLインポート)で説明します。
パターン1と2は、手順の章(第2章・第8章)のすぐあとにチュートリアルを置いています。この章で3つの方法の違いをつかみ、第2章・第8章で手順を読み、チュートリアルで実際に作る、という順に進んでください。
どの方法で作ってもかまいません。業務に合うテンプレートがあれば、積極的に活用してください。「DSLファイルのインポート」は、Difyの操作に慣れてきた方向けです(理由は1-3で説明します)。
3つの方法の概要は次のとおりです。作業時間はあくまで目安で、習熟度やアプリの複雑さによって変わります。

| 方法 | 内容 | 作業時間の目安 | 難しさ |
|---|---|---|---|
| パターン1:最初から作成 | 何もない状態から、ノード(処理の部品)を自分で並べて作る | 長い | 高い |
| パターン2:テンプレートから作成 | 用意されたアプリの例を選び、自分の業務に合わせて直す | 中くらい | 中くらい |
| パターン3:DSLファイルのインポート | 生成AIに設計ファイル(DSLファイル)を書かせて取り込む | 短い | 低い(依頼のしかたが重要) |
※Difyの公式ドキュメントでは、最初から作成することを「空白から作成」と表記していますが、実際の画面の表示に合わせて、本書では「最初から作成」で統一します。作成メニューの選択肢の文言・構成(テンプレートから作成する選択肢の有無を含む)は、環境やバージョンにより異なることがあります。
図1-1 最初から作成・テンプレートから作成・DSLファイルのインポート。各パターンの作業時間と難しさの目安
1-1. パターン1:最初から作成
### どんなときに選ぶか
最初から作成 は、何もない状態からアプリを組み立てる方法です。手順は第2章で説明し、第2章のあとの「チュートリアル 簡単なAIチャットアプリ作成」で、最初から置かれた「スタート → LLM → 回答」の3つのノードを動かしながら、簡単なAIチャットアプリを実際に作ります。続く「チュートリアル やさしい日本語ワークフロー作成」では、ワークフローをゼロから組みます。次のような場合にこの方法を選びます。
- 一般的な業務アプリを作る
- 業務に特化した処理の流れを自分で決めたい(例:複数の条件分岐、独自の加工処理)
- Difyの仕組みを理解するために、一から作ってみたい
利点と注意点
| 利点 | 注意点 |
|---|---|
| 思いどおりの構成にできる | 他の方法より作業時間はかかる |
| ノードの仕組みを理解できる | 初めての人は、小さな構成から始める(チュートリアルで練習できる) |
| 不要なノードが混ざらない | 必要な処理をすべて自分で設計してから組み立てる必要がある |
進め方の概要
- 作りたい処理の流れを書き出す(例:文書を受け取る → 要約する → 結果を返す)。
- スタジオでアプリを作成し、アプリの種類(ワークフローなど)を選ぶ(第2章)。
- キャンバス(編集画面の作業領域)にノードを1つずつ配置し、線でつなぐ(第7章)。(チュートリアル 簡単なAIチャットアプリ作成では、最初から置かれた3つのノードをそのまま使い、指示文の変更とノードの追加を体験します。チュートリアル やさしい日本語ワークフロー作成では、ノードの配置と接続を自分で行います)
- ノードを1つ追加するたびにテスト実行し、動きを確かめる。
- 全体が動いたら公開する(第2章)。
図1-2 パターン1「最初から作成」の進め方。流れを計画 → 作成・配置 → テスト実行 → 確認・修正 → 公開
うまく進めるための注意
- 最初は「入力 → LLM → 出力」程度の小さな構成で動かし、動いてから少しずつノードを足します。一気に作るとエラーの原因が分かりにくくなります。
- エラーが出たら、実行履歴のログでどのノードが失敗したかを確認します(第7章・第14章)。
1-2. パターン2:テンプレートから作成
このパターンの手順は第8章で説明し、第8章のあとの「チュートリアル テンプレートから作成」で、テンプレートの選択・直し方・テスト実行を実際に行います。
どんなときに選ぶか
テンプレートから作成 は、Difyがあらかじめ用意しているアプリの例(テンプレート)を選んで、自分の業務に合わせて直す方法です。テンプレートは「完成品」ではなく、「ワークフロー作成の出発点」です。そのまま使って終わりにするのではなく、中身を確認して自分の業務に合わせて直すことを前提に活用してください。テンプレートに業務に合う良いものがあれば、それを使って早く作れます。次のような場合に選びます。
- テンプレートに、業務に合う良いものがある(FAQ応答、文書要約、分類など)
- 早く動くものを作りたい
- ノードの組み方の実例を見て学びたい
どんなテンプレートがあるかは、アプリ作成時のテンプレート一覧や、環境によってはワークスペースの「探索」で確認できます。テンプレートを選ぶ場所・内容・数は、環境やバージョンにより異なります。
利点と欠点
| 利点 | 欠点 |
|---|---|
| 作業時間が短い | 業務に合わない部分は直す必要がある |
| 初めての人でも進めやすい | テンプレートの仕組みを理解する手間がかかる |
| ノードの組み方の実例を学べる | 大きく作り替えるなら最初から作成のほうが早いこともある |
進め方の概要
- テンプレートの一覧からテンプレートを選ぶ(選ぶ場所・文言は環境により異なります)。
- 作成されたアプリの中身(各ノードが何をしているか)を確認する。
- 自分の業務に合わせて直す。よく直す箇所は次の3点(直す手順の全体は、第8章8-4で8つの手順に分けて説明します)。
- ナレッジ(保管庫):自分の資料に差し替える
- AIモデルへの指示文:業務の言葉に合わせて直す
- AIモデルの選択:お使いの環境で使えるモデルを選ぶ
- テスト実行で動きを確かめてから公開する。
各手順の画面操作は第8章で説明します。
うまく進めるための注意
- 直すときは1箇所ずつ変えてテスト実行します。複数箇所を一度に変えると、エラーの原因が分かりにくくなります。
- 同じ構成で対象の資料だけ違うアプリを複数作りたい場合は、アプリを複製して、それぞれに別のナレッジをつなぐ方法があります(アプリの管理は第9章)。
図1-3 パターン2「テンプレートから作成」の進め方。テンプレート選択 → 中身確認 → 直す → テスト実行 → 公開
1-3. パターン3:DSLファイルのインポート
この方法は、Difyの操作に慣れてきた方向けです。生成AIに任せると、自分が理解できない複雑なアプリも作れてしまいますが、そうして作ったものは不具合が起きたときに直せず、運用も続けられません。まずは最初から作成(第2章)で作り方を身につけることをお勧めします。
どんなときに選ぶか
DSLファイル は、アプリの設計内容(アプリの情報、ノードの構成、設定)をYAMLというテキスト形式で書き出したファイルです。Difyはこのファイルの取り込み(インポート)と書き出し(エクスポート)に対応しています。
DSLファイルを自分で作成するには、プログラムファイルのYAMLを書く専門知識が必要です。ただし、生成AI(ClaudeやChatGPTなど)に「こういうアプリのDSLファイルを書いて」と依頼し、できたファイルをDifyに取り込むと、ノードが配置された状態のアプリを短時間で用意できます。次のような場合に選びます。
- 急いで動く試作品が必要
- 作りたいアプリの内容を言葉で説明できる
- ノードの組み方を自分で考えるのが難しい
利点と欠点
| 利点 | 欠点 |
|---|---|
| 作業時間が最も短い | 依頼のしかたが曖昧だと意図と違う構成になる/LLMの性能依存になる |
| ノードの組み方を自分で考えなくてよい | 取り込んだ後の確認・手直しは必要/ナレッジの登録やモデルの設定は取り込み後に手動で行う必要がある |
| 複雑な構成もAIに提案させられる | 処理の内容を理解しないと正しい動作かが分からない/障害が起きた時に直せない事が起きる可能性がある |
| ※DSLファイルで作成する場合も、Difyの設定内容を理解しないと正しく動いているかわからないので、Difyの設定方法や内容は理解しておく必要があります。 |
進め方の概要
- 生成AIに、作りたいアプリの内容を伝えてDSLファイルを書かせる。
- できたDSLファイル(YAML形式の文章)を手元に保存する。
- Difyのアプリ作成画面から「DSLファイルをインポート」を選び、ファイルを取り込む。
- 取り込まれたアプリを開き、ナレッジの接続・モデルの選択・指示文を確認して直す。
- テスト実行で動きを確かめてから公開する。
依頼のしかたの要点
生成AIへの依頼文には、次の4点を入れます(依頼文の型は第12章で詳しく説明します)。
- アプリの種類(例:チャットフロー)
- 処理の流れ(例:申請者名 → 事業内容 → 予算規模の順に聞き取り、最後に下書きを生成)
- 設定の指定(例:日本語で応答する、出力の形式)
- 手動でつなぐものの明示(ナレッジとAIモデルは取り込んだ後に自分でつなぐ、と伝える)
図1-4 パターン3「DSLファイルのインポート」の進め方。依頼 → DSL取得 → 取り込み → 設定手動調整 → テスト実行 → 公開
1-4. 3つのパターンの比較
| 項目 | 最初から作成 | テンプレートから作成 | DSLファイルのインポート |
|---|---|---|---|
| 作業時間の目安 | 長い | 中くらい | 短い |
| 難しさ | 高い | 中くらい | 低い(依頼のしかたが重要) |
| 構成の自由度 | 高い | 中くらい(テンプレートの範囲+手直し) | AIの提案しだい。取り込み後に手直しできる |
| 位置づけ | 一から自分で組み立てる | 用意された見本を出発点にして直す(合うものがあればお勧め) | 操作に慣れてきた方向け |
| 向いている場合 | 一般的な業務アプリ全般、独自の処理、学習目的 | 業務に合うテンプレートがあるとき | 操作に慣れてきて、内容を言葉で説明できるとき |
| うまく進める要点 | 流れを紙に書く。1ノードずつテスト実行 | 仕組みを理解してから1箇所ずつ直す | 依頼文に種類・流れ・設定・手動でつなぐものを明記する |
次に進む
- 「最初から作成」で作る場合は、第2章 最初から作成の手順に進んでください。
- 「テンプレートから作成」で作る場合は、第8章 テンプレートから作成の手順に進んでください。
- DSLインポートを試す場合は、第12章 AIにDSLを作らせてインポートで依頼文の型と取り込み手順を説明します。
出典一覧
本章の記述の根拠です(いずれも確認日:2026-08-14)。
| 内容 | 出典 |
|---|---|
| 最初から作成(公式ドキュメントの表記は「空白から作成」)とワークフロー作成の流れ | https://docs.dify.ai/ja-jp/guides/application-orchestrate/creating-an-application |
| DSLファイルの取り込み・書き出し(YAML形式・設計内容を含む) | https://docs.dify.ai/en/guides/management/app-management |
| チャットボット(指示文と資料の接続で作る簡単な対話アプリ) | https://docs.dify.ai/en/cloud/use-dify/build/chatbot.md |
| ナレッジをアプリにつなぐ操作(コンテキスト) | https://docs.dify.ai/ja-jp/guides/knowledge-base/integrate-knowledge-within-application |