第9章 アプリの管理画面

この章では、スタジオでアプリを開いたときに使える画面(オーケストレーション・APIアクセス・ログ・モニタリング)を説明します。アプリは「作って終わり」ではなく、公開したあとに「どう使われているか」「答えは正しいか」「消費量は増えていないか」を確認しながら直していきます。この章を読むと、その確認をどの画面で行うかが分かります。

9-1. アプリ内の画面切り替え(全体像)

Difyには、性質の異なる2種類のメニューがあります。まずこの区別をつかむと、目的の画面で迷いません。

メニューの種類 何を選ぶ場所か
ワークスペースのメニュー 作業の対象(アプリの一覧・ナレッジ・ツールなど)を選ぶ、Dify全体のメニュー 探索・スタジオ・ナレッジ・ツール(序章0-3)
アプリ内の画面切り替え スタジオで開いた1つのアプリの中で、編集・公開・記録確認の画面を切り替えるメニュー オーケストレーション・APIアクセス・ログ・モニタリング(本章)

スタジオでアプリを1つ開くと、そのアプリ専用の画面に切り替わります。アプリ内では、画面左側のメニューで次の4つの画面を行き来します。

アプリ内の画面 何ができる画面か 主に使う場面
オーケストレーション アプリの中身(指示文・ノードの流れ)を編集し、試し、公開する 作るとき・直すとき(9-2)
APIアクセス アプリを外部のシステムから呼び出すためのAPIキーを発行・管理する 外部のシステムと連携するとき(9-3)
ログ 利用の記録(質問と答え・実行の結果)を1件ずつ確認する 公開後に答えの中身を確かめるとき(9-4)
モニタリング 利用件数やトークン使用量(トークン=AIモデルが文章を処理する量の単位)などの集計を確認する 公開後に利用の定着や消費量を見るとき(9-5)

スタジオでアプリを1つ開いた直後の画面。左側にアプリ内の画面を切り替えるメニューが見える状態

アプリ内の画面構成 図9-1 ワークスペースからアプリを開くと、アプリ専用の4つの画面に切り替わる

補足を2点書きます。

9-2. オーケストレーション(編集画面)

オーケストレーション は、アプリの中身を編集する画面です。序章0-3と第2章2-4で「編集画面」と呼んでいた画面がこれにあたります。アプリを作成した直後に開くのもこの画面です。

画面の構成は、アプリの種類によって異なります(第2章2-4と同じ2区分です)。

アプリの種類 編集画面の構成
チャットボット・テキストジェネレーター 設定中心の画面。AIモデルへの指示文を書く欄、ナレッジ(保管庫)をつなぐ「コンテキスト」欄、その場で試せる「デバッグとプレビュー」などで構成される
ワークフロー・チャットフロー キャンバス(ノードを並べて線でつなぐ作業領域)。ノードを追加・接続して処理の流れを組み立てる

この画面でできることは、大きく次の4つです。

公開したあとにアプリを直すときも、この画面に戻って編集します。編集した内容は、公開の操作(更新の公開)を行うまで、公開中のアプリには反映されません。

9-3. APIアクセス

APIアクセス は、作ったアプリを外部のシステムから呼び出す窓口(API)として使うための画面です。ここでAPIキー(APIを呼び出すときに本人確認として添える鍵の文字列)を発行・管理します。

たとえば、庁内のポータルサイトや既存の業務システムからDifyのアプリを呼び出したいときに使います。ブラウザでアプリを使うだけなら、この画面を使う必要はありません。

この画面でできることは次のとおりです。

APIキーを発行する手順は次のとおりです。

前提:アプリを作成済みであること。

  1. スタジオで対象のアプリを開きます。
  2. 左側のメニューからAPIアクセスの画面を開きます。
  3. APIキーを発行する操作を行います(ボタンの名称・配置はバージョンにより異なります)。
  4. 発行されたAPIキーを、所属のルールに従って安全な場所に控えます。

完了状態:発行したAPIキーが画面の一覧に表示されている。

APIキーの取り扱いでは、次の点を守ってください。

APIを実際に呼び出す手順(リクエストの書き方・試し方)は第11章で説明します。

9-4. ログ

ログ は、アプリの利用記録を1件ずつ確認する画面です。誰が・いつ・何を入力し、アプリが何を返したかが残るため、公開後の点検はこの画面が起点になります。

記録される単位は、アプリの種類によって異なります。

一覧に表示される主な項目は次のとおりです。

項目 内容
タイトル 最初のメッセージから自動で付く見出し
エンドユーザーまたはアカウント 誰が使ったか(外部の利用者の識別番号、またはチームメンバーのアカウント)
ユーザーレート 利用者が答えに付けた評価(高評価・低評価)
操作レート 運営側(チームメンバー)が付けた評価
トリガー方法 どこから実行されたか(Webアプリ・APIなど。ワークフローのみ表示)

ワークフローの実行記録では、このほかに開始時刻・実行の成否(ステータス)・実行時間・トークン数が一覧で確認できます。

一覧から1件を開くと、さらに詳しい内容を確認できます。

アプリのログ画面。利用記録の一覧が表示され、タイトル・利用者・評価の列が見える状態

公開後に答えの中身を確かめる手順は次のとおりです。

前提:アプリを公開済みで、利用が始まっていること。

  1. スタジオで対象のアプリを開きます。
  2. 左側のメニューからログの画面を開きます。
  3. 一覧から確認したい記録を選んで開きます。
  4. 質問と答えの全文を読み、答えが正しいか・意図どおりかを確認します。あわせてトークン消費・応答時間も確認します。
  5. 直したい答えが見つかったら、原因に応じてオーケストレーションで指示文やノードを修正します(エラーが原因の場合の切り分けは第14章)。

完了状態:確認した記録について、答えの内容・トークン消費・応答時間を把握できている。

ログの使いどころと注意は次のとおりです。

9-5. モニタリング

モニタリング は、アプリの利用状況の集計を確認する画面です。ログが「1件ずつの中身」を見る画面であるのに対し、モニタリングは「全体の傾向」をグラフと数値で見ます。公式ドキュメントではこの集計画面をダッシュボードと呼びます。

表示される主な指標は次の4つです。

指標 内容
メッセージ総数(Total Messages) 期間中のやり取りの件数。どれだけ使われたかが分かる
アクティブユーザー数(Active Users) 実際に使った利用者の数。利用が定着しているかが分かる
平均利用回数(Average User Interactions) 利用者1人あたりのやり取りの回数。続けて質問されているかが分かる
トークン使用量(Token Usage) AIモデルの処理量の合計。消費量とコストの目安になる

アプリのモニタリング画面。総会話数・アクティブユーザー数などの集計グラフが表示された状態

運用中の定期確認の手順は次のとおりです(例:月に1回)。

前提:アプリを公開済みで、利用が始まっていること。

  1. スタジオで対象のアプリを開きます。
  2. 左側のメニューからモニタリングの画面を開きます。
  3. 期間を確認したい範囲(例:直近1か月)に切り替えます。
  4. メッセージ総数とアクティブユーザー数で、利用が続いているか・増えているかを確認します。
  5. トークン使用量で、消費量が想定の範囲に収まっているかを確認します。急に増えているときは、ログで使われ方を確認します。

完了状態:対象期間の利用件数・利用者数・トークン使用量を把握し、必要ならログでの確認事項を書き出せている。

まとめ:4つの画面の使い分け

したいこと 使う画面
アプリを作る・直す・公開する オーケストレーション(操作の詳細は第7章)
外部のシステムから呼び出せるようにする APIアクセス(呼び出し方は第11章)
答えの中身を1件ずつ確かめる ログ
利用の定着と消費量を全体で見る モニタリング

公開後は「モニタリングで全体を見る → 気になる点をログで1件ずつ確かめる → オーケストレーションで直す」という順で確認すると、無理なく続けられます。

次の章では、オーケストレーションの画面で使うノードの種類を1つずつ説明します(第10章「ノードの種類」・本マニュアル)。

出典一覧

本章の記述の根拠です(いずれも確認日:2026-08-14。「APIアクセス」行と「モニタリング」行の追記は2026-08-17)。

内容 出典
アプリ内の左側メニューに「モニタリング」「ログ」があること・ワークフローのログ一覧の項目(開始時刻・ステータス・実行時間・トークン・利用者・トリガー元)・ダッシュボードの4指標 https://docs.dify.ai/en/learn/tutorials/workflow-101/lesson-10
「オーケストレーション」画面(左上の「DSL エクスポート」)・スタジオのアプリ一覧からのDSLエクスポート・複製・削除などアプリの管理 https://docs.dify.ai/ja/use-dify/workspace/app-management
画面名「APIアクセス」(アプリの構成要素として「公開された Web アプリと API アクセス」と記載) https://docs.dify.ai/ja/use-dify/workspace/app-management
ログ画面の記録内容(会話・実行の別、タイトル・エンドユーザーまたはアカウント・ユーザーレート・操作レート・トリガー方法、トークン消費・応答時間・処理の過程)・注釈の追加 https://docs.dify.ai/ja/use-dify/monitor/logs
ダッシュボードの4指標(Total Messages・Active Users・Average User Interactions・Token Usage)・時間セレクター・外部の分析サービス連携。ja-jp版にある「モニタリングダッシュボード」の表記=日本語呼称「モニタリング」の根拠 https://docs.dify.ai/ja/use-dify/monitor/analysis / https://docs.dify.ai/ja-jp/guides/monitoring/analysis
アプリごとのAPIキー作成・ベースURL(クラウド版 https://api.dify.ai/v1)・アプリの種類ごとにAPIの構成が異なること・「APIはバックエンドからのみ呼び出す」注意 https://docs.dify.ai/ja/use-dify/publish/developing-with-apis
画面名(スタジオ・ナレッジ・コンテキスト・デバッグとプレビュー) https://docs.dify.ai/ja-jp/guides/knowledge-base/integrate-knowledge-within-application
テスト実行・公開の操作 https://docs.dify.ai/ja-jp/guides/application-orchestrate/creating-an-application