第9章 アプリの管理画面
この章では、スタジオでアプリを開いたときに使える画面(オーケストレーション・APIアクセス・ログ・モニタリング)を説明します。アプリは「作って終わり」ではなく、公開したあとに「どう使われているか」「答えは正しいか」「消費量は増えていないか」を確認しながら直していきます。この章を読むと、その確認をどの画面で行うかが分かります。
- ノードの配置・接続・設定の操作は第7章で説明します。
- APIの実際の呼び出し方(プログラムからの利用)は第11章で説明します。
- エラーが出たときの対処は第14章で説明します。
- 画面の名称・配置はバージョンや環境により異なることがあります(序章「本書の確認環境」参照)。
9-1. アプリ内の画面切り替え(全体像)
Difyには、性質の異なる2種類のメニューがあります。まずこの区別をつかむと、目的の画面で迷いません。
| メニューの種類 | 何を選ぶ場所か | 例 |
|---|---|---|
| ワークスペースのメニュー | 作業の対象(アプリの一覧・ナレッジ・ツールなど)を選ぶ、Dify全体のメニュー | 探索・スタジオ・ナレッジ・ツール(序章0-3) |
| アプリ内の画面切り替え | スタジオで開いた1つのアプリの中で、編集・公開・記録確認の画面を切り替えるメニュー | オーケストレーション・APIアクセス・ログ・モニタリング(本章) |
スタジオでアプリを1つ開くと、そのアプリ専用の画面に切り替わります。アプリ内では、画面左側のメニューで次の4つの画面を行き来します。
| アプリ内の画面 | 何ができる画面か | 主に使う場面 |
|---|---|---|
| オーケストレーション | アプリの中身(指示文・ノードの流れ)を編集し、試し、公開する | 作るとき・直すとき(9-2) |
| APIアクセス | アプリを外部のシステムから呼び出すためのAPIキーを発行・管理する | 外部のシステムと連携するとき(9-3) |
| ログ | 利用の記録(質問と答え・実行の結果)を1件ずつ確認する | 公開後に答えの中身を確かめるとき(9-4) |
| モニタリング | 利用件数やトークン使用量(トークン=AIモデルが文章を処理する量の単位)などの集計を確認する | 公開後に利用の定着や消費量を見るとき(9-5) |

図9-1 ワークスペースからアプリを開くと、アプリ専用の4つの画面に切り替わる
補足を2点書きます。
- ワークスペースのメニュー(探索・スタジオ・ナレッジ・ツール)の役割は序章0-3のとおりです。本章では、その中の「スタジオ」から先、アプリを開いた中の画面を扱います。
- アプリ内の画面の名称・並び・数は、アプリの種類やバージョンにより異なることがあります。本書では公式ドキュメントの呼び名(オーケストレーション・APIアクセス・ログ・モニタリング)で説明します。
9-2. オーケストレーション(編集画面)
オーケストレーション は、アプリの中身を編集する画面です。序章0-3と第2章2-4で「編集画面」と呼んでいた画面がこれにあたります。アプリを作成した直後に開くのもこの画面です。
画面の構成は、アプリの種類によって異なります(第2章2-4と同じ2区分です)。
| アプリの種類 | 編集画面の構成 |
|---|---|
| チャットボット・テキストジェネレーター | 設定中心の画面。AIモデルへの指示文を書く欄、ナレッジ(保管庫)をつなぐ「コンテキスト」欄、その場で試せる「デバッグとプレビュー」などで構成される |
| ワークフロー・チャットフロー | キャンバス(ノードを並べて線でつなぐ作業領域)。ノードを追加・接続して処理の流れを組み立てる |
この画面でできることは、大きく次の4つです。
- 編集する:指示文・ノード・設定を変更します。ノードの追加・接続・設定・削除・複製の操作は第7章で説明します。
- 試す:ワークフローでは「テスト実行」、対話型のアプリでは「デバッグとプレビュー」で、公開する前に動きを確かめます(第2章2-6・第7章)。
- 公開する:確認できたら公開の操作を行います。公開の形(Webアプリ・埋め込み・API・MCPサーバー)は第2章2-7のとおりです。
- DSLファイルを書き出す:画面左上の「DSL エクスポート」から、アプリの設計内容をDSLファイル(アプリの設計内容を書き出したファイル)として保存できます。控えの保管や他の環境への持ち出しに使います(詳しくは第12章)。
公開したあとにアプリを直すときも、この画面に戻って編集します。編集した内容は、公開の操作(更新の公開)を行うまで、公開中のアプリには反映されません。
9-3. APIアクセス
APIアクセス は、作ったアプリを外部のシステムから呼び出す窓口(API)として使うための画面です。ここでAPIキー(APIを呼び出すときに本人確認として添える鍵の文字列)を発行・管理します。
たとえば、庁内のポータルサイトや既存の業務システムからDifyのアプリを呼び出したいときに使います。ブラウザでアプリを使うだけなら、この画面を使う必要はありません。
この画面でできることは次のとおりです。
- APIキーの発行と管理(不要になったキーの削除)。APIキーはアプリごとに発行します。
- 接続先(ベースURL)の確認。クラウド版では
https://api.dify.ai/v1です。 - APIでできる操作は、アプリの種類(チャットボット・ワークフローなど)によって構成が異なります。詳しい仕様は公式ドキュメントのAPIリファレンスで確認します。
APIキーを発行する手順は次のとおりです。
前提:アプリを作成済みであること。
- スタジオで対象のアプリを開きます。
- 左側のメニューからAPIアクセスの画面を開きます。
- APIキーを発行する操作を行います(ボタンの名称・配置はバージョンにより異なります)。
- 発行されたAPIキーを、所属のルールに従って安全な場所に控えます。
完了状態:発行したAPIキーが画面の一覧に表示されている。
APIキーの取り扱いでは、次の点を守ってください。
- APIは、サーバー側(バックエンド)のプログラムからのみ呼び出します。利用者のブラウザで動く画面側のプログラムにAPIキーを埋め込むと、キーを抜き取られて悪用されるおそれがあります(公式ドキュメントの注意事項)。
- APIキーは秘密情報です。メール・チャット・共有ファイルに直接書いて配らないでください。漏れた疑いがあるときは、キーを削除して発行し直します。
- 庁内ネットワークから外部のシステムに接続できるかは環境によります。連携を計画する前に、情報担当部署に確認してください(序章0-5と同じ注意です)。
APIを実際に呼び出す手順(リクエストの書き方・試し方)は第11章で説明します。
9-4. ログ
ログ は、アプリの利用記録を1件ずつ確認する画面です。誰が・いつ・何を入力し、アプリが何を返したかが残るため、公開後の点検はこの画面が起点になります。
記録される単位は、アプリの種類によって異なります。
- チャットボットなどの対話型のアプリとテキストジェネレーターは、利用者とのやり取り(会話)が記録されます。
- ワークフローは、1回ごとの実行が記録されます。
一覧に表示される主な項目は次のとおりです。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| タイトル | 最初のメッセージから自動で付く見出し |
| エンドユーザーまたはアカウント | 誰が使ったか(外部の利用者の識別番号、またはチームメンバーのアカウント) |
| ユーザーレート | 利用者が答えに付けた評価(高評価・低評価) |
| 操作レート | 運営側(チームメンバー)が付けた評価 |
| トリガー方法 | どこから実行されたか(Webアプリ・APIなど。ワークフローのみ表示) |
ワークフローの実行記録では、このほかに開始時刻・実行の成否(ステータス)・実行時間・トークン数が一覧で確認できます。
一覧から1件を開くと、さらに詳しい内容を確認できます。
- 質問と答えの全文
- トークン消費と応答時間
- 処理の過程(どのノードに何が入力され、何が出力されたかの記録。ワークフロー・チャットフローの場合)

公開後に答えの中身を確かめる手順は次のとおりです。
前提:アプリを公開済みで、利用が始まっていること。
- スタジオで対象のアプリを開きます。
- 左側のメニューからログの画面を開きます。
- 一覧から確認したい記録を選んで開きます。
- 質問と答えの全文を読み、答えが正しいか・意図どおりかを確認します。あわせてトークン消費・応答時間も確認します。
- 直したい答えが見つかったら、原因に応じてオーケストレーションで指示文やノードを修正します(エラーが原因の場合の切り分けは第14章)。
完了状態:確認した記録について、答えの内容・トークン消費・応答時間を把握できている。
ログの使いどころと注意は次のとおりです。
- 誤った答え・分かりにくい答えを見つけて、修正のきっかけにします。利用者の評価(ユーザーレート)が低い記録から確認すると効率的です。
- ログの答えには 注釈 を追加できます。質問に対する改善済みの回答を登録しておく機能です。
- ログには利用者が入力した文がそのまま残ります。閲覧・共有は、所属の個人情報の取り扱いルールに従ってください。
9-5. モニタリング
モニタリング は、アプリの利用状況の集計を確認する画面です。ログが「1件ずつの中身」を見る画面であるのに対し、モニタリングは「全体の傾向」をグラフと数値で見ます。公式ドキュメントではこの集計画面をダッシュボードと呼びます。
表示される主な指標は次の4つです。
| 指標 | 内容 |
|---|---|
| メッセージ総数(Total Messages) | 期間中のやり取りの件数。どれだけ使われたかが分かる |
| アクティブユーザー数(Active Users) | 実際に使った利用者の数。利用が定着しているかが分かる |
| 平均利用回数(Average User Interactions) | 利用者1人あたりのやり取りの回数。続けて質問されているかが分かる |
| トークン使用量(Token Usage) | AIモデルの処理量の合計。消費量とコストの目安になる |
- 指標名の画面上の表記は、バージョン・言語設定により異なることがあります(公式ドキュメントでは英語名で示されています)。
- 期間の切り替え(時間セレクター)で、日ごと・期間ごとの推移を確認できます。
- 外部の分析サービスにつないでさらに詳しく分析する機能(アプリのパフォーマンスのトレース)もありますが、本書では扱いません。

運用中の定期確認の手順は次のとおりです(例:月に1回)。
前提:アプリを公開済みで、利用が始まっていること。
- スタジオで対象のアプリを開きます。
- 左側のメニューからモニタリングの画面を開きます。
- 期間を確認したい範囲(例:直近1か月)に切り替えます。
- メッセージ総数とアクティブユーザー数で、利用が続いているか・増えているかを確認します。
- トークン使用量で、消費量が想定の範囲に収まっているかを確認します。急に増えているときは、ログで使われ方を確認します。
完了状態:対象期間の利用件数・利用者数・トークン使用量を把握し、必要ならログでの確認事項を書き出せている。
まとめ:4つの画面の使い分け
| したいこと | 使う画面 |
|---|---|
| アプリを作る・直す・公開する | オーケストレーション(操作の詳細は第7章) |
| 外部のシステムから呼び出せるようにする | APIアクセス(呼び出し方は第11章) |
| 答えの中身を1件ずつ確かめる | ログ |
| 利用の定着と消費量を全体で見る | モニタリング |
公開後は「モニタリングで全体を見る → 気になる点をログで1件ずつ確かめる → オーケストレーションで直す」という順で確認すると、無理なく続けられます。
次の章では、オーケストレーションの画面で使うノードの種類を1つずつ説明します(第10章「ノードの種類」・本マニュアル)。
出典一覧
本章の記述の根拠です(いずれも確認日:2026-08-14。「APIアクセス」行と「モニタリング」行の追記は2026-08-17)。
| 内容 | 出典 |
|---|---|
| アプリ内の左側メニューに「モニタリング」「ログ」があること・ワークフローのログ一覧の項目(開始時刻・ステータス・実行時間・トークン・利用者・トリガー元)・ダッシュボードの4指標 | https://docs.dify.ai/en/learn/tutorials/workflow-101/lesson-10 |
| 「オーケストレーション」画面(左上の「DSL エクスポート」)・スタジオのアプリ一覧からのDSLエクスポート・複製・削除などアプリの管理 | https://docs.dify.ai/ja/use-dify/workspace/app-management |
| 画面名「APIアクセス」(アプリの構成要素として「公開された Web アプリと API アクセス」と記載) | https://docs.dify.ai/ja/use-dify/workspace/app-management |
| ログ画面の記録内容(会話・実行の別、タイトル・エンドユーザーまたはアカウント・ユーザーレート・操作レート・トリガー方法、トークン消費・応答時間・処理の過程)・注釈の追加 | https://docs.dify.ai/ja/use-dify/monitor/logs |
| ダッシュボードの4指標(Total Messages・Active Users・Average User Interactions・Token Usage)・時間セレクター・外部の分析サービス連携。ja-jp版にある「モニタリングダッシュボード」の表記=日本語呼称「モニタリング」の根拠 | https://docs.dify.ai/ja/use-dify/monitor/analysis / https://docs.dify.ai/ja-jp/guides/monitoring/analysis |
アプリごとのAPIキー作成・ベースURL(クラウド版 https://api.dify.ai/v1)・アプリの種類ごとにAPIの構成が異なること・「APIはバックエンドからのみ呼び出す」注意 |
https://docs.dify.ai/ja/use-dify/publish/developing-with-apis |
| 画面名(スタジオ・ナレッジ・コンテキスト・デバッグとプレビュー) | https://docs.dify.ai/ja-jp/guides/knowledge-base/integrate-knowledge-within-application |
| テスト実行・公開の操作 | https://docs.dify.ai/ja-jp/guides/application-orchestrate/creating-an-application |