13-1. 例1:FAQ応答チャットボット(手動作成)

職員からの質問に、登録した資料を根拠に答えるチャットボットを作ります。序章0-5の「庁内FAQへの自動応答」にあたる、最も基本的な形です。ノードは使わず、指示文とナレッジの接続だけで作れます(第2章2-4)。

前提(必要なもの)

手順1:資料をナレッジに登録する(最小限)

前提:FAQ資料のファイルが手元にあること。

  1. ワークスペースのメニューから「ナレッジ」を開きます(序章0-3)。
  2. ナレッジ(資料をためて検索できる保管庫)を新しく作成し、FAQ資料のファイルを登録します。作成から登録完了までの操作は、第5章5-2の手順1〜4と同じです。
  3. 登録時の設定項目(チャンクへの区切り方、登録の方式など)は、第5章5-2と同じく初期表示のまま進めて構いません。各設定の意味は第5章5-2で説明しています。

完了状態:ナレッジの一覧に、FAQ資料を登録したナレッジが表示されている。

手順2:チャットボットを作成する

前提:手順1のナレッジが作成済みであること。

  1. ワークスペースのメニューから「スタジオ」を開き、左上の「アプリを作成する」の「最初から作成」ボタンを押します(第2章2-1)。
  2. アプリの種類で「チャットボット」を選びます(第2章2-2)。会話の流れを自分で組み立てたい場合はチャットフローでも作れますが、本章では最も簡単なチャットボットで作ります(序章0-2)。
  3. アプリ名(例:庁内手続きFAQ)と説明を入力して作成します(第2章2-3)。

完了状態:チャットボットの編集画面(指示文を書く欄・コンテキスト欄・デバッグとプレビューのある、設定中心の画面。第2章2-4)が開いている。

手順3:指示文を書く

  1. 編集画面の、AIモデルへの指示文を書く欄に、答え方のルールを書きます。書く内容の例は次のとおりです。
あなたは庁内手続きの案内係です。
接続された資料の内容にもとづいて答えてください。
資料に無いことは推測で答えず、「資料には見当たりません」と返してください。
応答は日本語で書いてください。
  1. 必要に応じて、自分の業務に合わせて役割や答え方を書き換えます。

完了状態:指示文の欄に、役割と答え方のルールが書かれている。

この指示文は、第12章12-2の依頼文の例2で生成AIに伝えた指示文と同じ考え方です。「資料にもとづいて答える」「資料に無いことは答えない」の2つを必ず入れておくと、事実でない内容をAIが答えてしまうこと(ハルシネーション)を抑えられます。

手順4:ナレッジをつなぐ(コンテキスト)

  1. 編集画面のコンテキスト(アプリにナレッジをつなぐ設定欄。第2章2-4)で、ナレッジの追加の操作をします。
  2. 手順1で作ったナレッジを選びます。

完了状態:コンテキスト欄に、選んだナレッジの名前が表示されている。

チャットボットの編集画面で、コンテキスト欄にナレッジを1つ追加し、指示文の欄に手順3の指示文が入っている状態

手順5:デバッグとプレビューで試す

  1. 編集画面の「デバッグとプレビュー」(作ったアプリをその場で試す画面)で、FAQ資料に書いてある質問を入力します。
  2. 答えが返ったら、元のFAQ資料の該当箇所と突き合わせて、内容が一致しているかを確認します。
  3. 続けて、FAQ資料に書いていない質問(例:資料に無い制度の質問)も入力し、答え方を確認します。

完了状態:資料にある質問には資料の内容に沿った答えが返り、資料に無い質問には「資料には見当たりません」という趣旨の答えが返る。

デバッグとプレビューで質問し、登録した資料を根拠にした答えが返った状態。答えの下に引用元の資料名が表示されている

答えの下には、根拠にした資料の名前(引用元)が表示されます。ここを見ると、どの資料のどこを使って答えたのかを確かめられます。

手順6:公開する

動きを確認できたら、公開の操作をします(第2章2-7)。Webアプリとして公開すると、発行されたURLをブラウザで開いて、作った本人以外の職員も使えるようになります。誰にどの形で使わせるかは、所属のルールに従って決めてください。

完了状態:公開したWebアプリのURLを開き、手順5と同じ質問で同じ趣旨の答えが返る。

完成の確かめ方

次の2つの入力で、期待どおりの答えが返れば完成です。

試す入力 こう返れば完成
FAQ資料に書いてある質問(例:資料に載せた手続きの質問) 資料の該当箇所と一致する内容の答えが返る
FAQ資料に書いていない質問 推測で答えず、「資料には見当たりません」という趣旨の答えが返る

答えの正しさは、必ず元の資料と突き合わせて確認します。根拠の示されていない答えをそのまま信じないことは、公開後に使う職員にも伝えてください。

うまくいかないときの主な確認先

症状 確認先
資料にある質問なのに「見当たりません」と返る/答えが資料と合わない ナレッジの登録のしかた・検索の調整の問題です。まず検索テスト(第5章5-2の手順5)で根拠を拾えているかを確かめ、設定の調整は第5章5-2・5-4を確認します
コンテキスト欄にナレッジが出てこない 手順1でナレッジが作成できているかをナレッジの画面で確認します(序章0-3)
画面の操作・公開の操作が分からない 第2章(作成〜公開の流れ)を確認します
エラーが表示される 第14章(トラブルシューティング)を確認します